抗原、レセプターの特異的蛍光標識試薬

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目次

細胞表面の目的タンパク質の新たなラベリング法- “Easy ID”

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蛍光標識試薬 “Easy ID”の仕組み

AGD化学 (Affinity-Guided DMAP chemistry)によるラベリングの画期性

リガンドに*DMAPを連結したリガンド連結DMAPを触媒として**アシルドナー (チオエステル誘導体-蛍光色素修飾)を目的タンパク質に結合させるラベル化法です。レセプターに対するリガンド、抗原に対する抗体 (VHH、scFv、Fab)に代わって蛍光修飾された小さな分子が共有結合します。

AGD化学メカニズム
AGD化学メカニズム: (a)リガンドによるタンパク質の認識 (b)DMAPによるアシルドナーの活性化 (c)タンパク質のアミノ酸上の置換基による求核攻撃 (d)リガンドの脱離
Analysis of Cell-surface Receptor Dynamics Through Covalent Labeling by Catalyst-tethered AntibodyҠ
Takahiro Hayashi, Yuki Yasueda, Tomonori Tamura, Yousuke Takaoka, Itaru Hamachi*
J. Am. Chem. Soc., 137, 5372–5380 (2015)
DMAPの短いリンカーと長いリンカーを使った場合のラベル化位置の違い
DMAPの短いリンカーと長いリンカーを使った場合のラベル化位置の違い

本製品 “Easy ID” のパッケージ内容

  • 標準プロトコール5回分: 39,000円(税別)
    1. *DMAP: DMAP-Lys(DMAP)-Lys(DMAP)-[Pro]6-Gly-MDA-N-maleimido
      MW: 1521.8
      0.1mg
    2. **アシルドナー: 5(6)FAM-[g-Abu]-S-Ph
      MW: 553.1
      0.1mg

Easy ID プロトコル

◆マレイミドDMAP修飾プロトコル

  1. 目的タンパク質、抗体などをPBSなどの適切なバッファー (pH7~8推奨)に溶解する。
    最終的に50 μM, 300 μlのタンパク質溶液①を作る。
    (実際実験のスケールによってタンパク質溶液は50μl -500μlも可)
  2. 本試薬に100 μl DMSOを添加し5 mMの試薬ストック②を作る。
    (一つの瓶で50 μlか100 μl DMSOを添加して、5 mMのストックを作られるほうがよいでしょう)
  3. 上記①のタンパク質に対し、等モルの試薬 (上記DMSOストック溶液②)3 μlを加え、ピペッテングにより反応溶液をよく混ぜる。
  4. 室温で30分-60分インキュベートする。
    (MALDI MSで反応を追跡するのがよい。反応が100%進行しない場合、試薬ストックを1~2当量追加)
  5. ゲルろ過などにより修飾されたタンパク質を精製する。

当プロトコルでのポイント

細胞抗原ラベリング時は、上記にて調製したタンパク質(抗体)-DMAPコンジュゲートを最終濃度 1 μMになるようにする。
また、Acyl donorを最終濃度 8 μMになるように細胞 (培地中)に添加する。(Hayashi et al., JACS (2015) 参照)
注意1) 修飾反応が進行しない場合、DTTやTCEPにより目的タンパク質を還元することを推奨。還元後、余剰の還元剤を除くこと。
注意2) フリーシステインの再酸化を防ぐため、窒素雰囲気下でのインキュベートを推奨。

◆マレイミドDMAP修飾プロトコル (還元バージョン)

  1. 目的タンパク質、抗体などをPBSなどの適切なバッファー (pH7~8推奨)に溶解する。
    最終的に50 μM, 300 μlのタンパク質溶液を作る。
    (実際実験のスケールによってタンパク質溶液は50ul-500ulも可)
  2. タンパク質に対し2~5当量のDTTやTCEPを添加する。
    (タンパク質と同じバッファーで5 mMの還元剤溶液を使えばよい)
  3. 4℃で1時間静置インキュベートする。
  4. DTTの場合スピンカラムで余分のDTTを除く。
    (TCEPの場合次のステップへ)
  5. 本試薬に100 μl DMSOを添加し5 mMの試薬ストック②を作る。
    (一つの瓶で50 μlか100 μl DMSOを添加いて、5 mMのストックを作られるほうがよいでしょう)
  6. 上記還元されたタンパク質に対し等モルの試薬(上記DMSOストック溶液②)3μlを加え、ピペッテングにより反応溶液をよく混ぜる。
  7. 室温で30分-60分インキュベートする。
    (MALDI MSで反応を追跡するのがよい。反応が100%進行しない場合、試薬ストックを1~2当量追加添加)
  8. ゲルろ過などにより修飾されたタンパク質を精製する。

注意) フリーシステインの再酸化を防ぐため、窒素雰囲気下でのインキュベートを推奨。



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